八方美人の頭の中

家庭のこと、仕事のこと、日々考えていることについて人目を気にせずゆるく綴ります。

ダン・ブラウンと翻訳の話

妊娠して仕事が軽減され時間ができたので、本をよく読んでいます。
こういうまとまった時間のある時こそ、大長編を読みたいなあと思うのですが、なかなか読みたいものがありません。

こういうタイミングでダン・ブラウンのラングドン教授シリーズなんかが出てくれるといいんだけどなあー
あのシリーズ大好きです。
先が気になって、だいたい毎回徹夜して読んでました。しかも何回読んでもドキドキハラハラできる。
わたしの中でのおもしろかったランキングは

2位 天使と悪魔
4位 ロスト・シンボル

正直「ダ・ヴィンチ・コード」と「天使と悪魔」は同率1位に近いのですが、「天使と悪魔」は秘密結社、次々起こる見立て殺人、地下墓地と話の筋がおどろおどろしくてスリリングでよいのですが、最後の方の反物質の話がかなりSF色がちょっと強かったかなあ…という感じ。犯人の語る動機とかはすごく示唆に富んでてよかったのですけどね!
ダ・ヴィンチ・コード」は最初に読んだ1作なのでインパクトがかなり強かったのと、最後に暴かれる秘密が相当衝撃的で、楽しめました。フィクションだって分かってるけど、世界のどこかにこんな秘密が隠されてたらおもしろいなあー!って思ってしまう。
ヨーロッパに長く住んでいたので、出てくる場所が懐かしいのもこれだけはまる理由かもしれません。

毎回出てくる異形の敵キャラも、シリーズの魅力です。これがまた怖いんですけどね…!サディスティックな暗殺民族、ストイックなアルビノの修道士、全身刺青男…気色悪いけど、最後はラングドンが勝つと分かっているからどんどん読み進めたくなるんだなー。

あと毎回思うのですが、このシリーズを一貫して翻訳されてる越前敏弥さんという方はすごい。
ただでさえ込み入った推理小説である上に、古語で韻を踏んだ詩句とかが出てくるので、それを分かりやすく原意を損なわないように翻訳するのは相当大変だろうと想像しますが、翻訳であることを忘れてしまうくらいすらすら読めます。
このすごさは、スラスラ読めない小説に巡り会った時に際立ちます。
以前長距離フライトに備えて買った、◯ッキーが記者会見シーンをパロったと言われた某小説は、個人的には訳がスムーズに入ってこず、序盤でリタイアしてしまいました。「きっと原文でこういう言い回しをしててそれをそのまま訳したんだろうけど日本語の会話としてはなんか不自然だよなあ…」みたいな勘繰りを素人ながらにしてしまって、話が入ってこないという。子どもがつっかえつっかえ練習するピアノ聞いてると気になって曲に集中できない感じに似てるかも。

自分でも仕事で翻訳をかじったことがありますが、原文に忠実であることが大事な種類の書類もあるけど、物語では、必ずしも忠実でなくても原文を読んだ時と同じ(限りなく近い)情景が想像できる、というのが重要なのかもしれませんね。

日本語を外国語に翻訳する時も、例えば「故郷に錦を飾る」という表現なら、錦がその国でどんな布に当たるかはどうでもよくて、帰った故郷の家族の反応とか本人の誇らしい気持ちとか、そういうのを引っくるめてふさわしい表現を見つけるのがいい翻訳なんでしょうねー。
ちなみにGoogle先生によると「Decorate the Nishiki in hometown」だそうです笑。